リチウムイオン二次電池について
皆さん、リチウムイオン二次電池がどこに使われているか知っていますか?実はとっても身近なものに使われています。それは、主に携帯電話やノートパソコン、携帯音楽プレイヤーなどの小型電子機器に使われています。
これらの小型電子機器はとても電気エネルギーを使うので、普通の乾電池を使って動かそうとすると多数の乾電池が必要になり、電池を置いておくスペースが大きくなって機械自体が大型になってしまいます。
では携帯電話やノートパソコン、携帯音楽プレイヤーがなぜ小さいのでしょう?
それはリチウムイオン二次電池を使っているからです。リチウムイオン二次電池は一般的な乾電池の三倍のパワーがあるので、乾電池とリチウムイオン二次電池とで同じパワーを出そうとすると、乾電池の三分の一のスペースしかいらないので機械自体が小さくてすむのです。また、二次電池なので充電、放電を繰り返して何回も使えます。
現在リチウムイオン二次電池に広く利用されている正極材料はLiCoO2、LiNiO2といった物質で、CoやNiは環境負荷が大きく、埋蔵量も少なく希少価値の高い金属です。そこで、CoやNiを使わない正極材料の開発が求められていて、現在盛んに研究、開発が行われています。佐藤研究室ではより環境負荷が小さく、低コストなFe系やMn系などに着目しています。
では、研究の一部を紹介します。
佐藤研究室で行っている研究
佐藤研究室では、今までのCoやNiに代わりに環境負荷が小さく、比較的安価なFeやMnを使った正極材料の研究をしています。
具体的には、鉄系材料としてLiFePO4やLiFeSiO4などの正極材料を作製し、電池特性の改善を試みています。マンガン系材料としてはLiMn2O4の電池特性の改善を試みています。
鉄系材料では、鉄が酸化されやすいので窒素を流しながら専用の炉(Fig.2)で焼成しています。マンガン系の材料は空気中で通常の箱型の炉(Fig.3)で焼成しています。
電池特性を改善する方法といたしまして、炭素を正極材料の表面にコーティングすることで電気伝導度をより良くして電池の特性の改善を試みています。その取り組みとして高分子材料と正極材料を混合して、真空中で焼成を行って炭素のコーティングを試みています。電池特性の評価といたしましてグローブボックス(Fig.4)というArガスで満たされた装置内で実際に電池(Fig.5)を組み立てて電池の性能を見ています。
近年、携帯電話やノートパソコンが小型になった理由の一つとしてリチウムイオン二次電池の実用化が挙げられます。しかし、リチウムイオン二次電池はまだまだ改善の余地があり、とても面白い研究です。一度佐藤研究室に来て、一緒にリチウムイオン二次電池の研究をしてみませか?