〜マイクロ波加熱法〜
マイクロ波とは1GHz以上、3THz以下の周波数を持つ電磁波です。このマイクロ波は現代社会において工業、医療、科学等の幅広い分野においてクリーンな加熱を行うエネルギー源として用いられています。最も身近な例としては食品の加熱を行う電子レンジが挙げられます。
マイクロ波加熱にはマイクロ波を吸収する物質のみが加熱される、試料の内部から加熱される、加熱効率が良い等の特徴があります。これらの特徴から、合成時間の短縮、分散性の向上、生成物の微粒子化などの効果が期待できます。本研究室ではこれらの特性を利用した機能性材料の合成、形態制御などを研究しています。
本研究室で行っている研究の例として、蛍光体のMgWO4の合成が挙げられます。マイクロ波加熱の選択加熱効果を利用することで、この場合WO3のみが発熱、昇華し、粒径の小さいMgOの周りで反応します。よって粒径が小さく、均一な生成物が得られると考えられます。
また、本研究室ではマイクロ波加熱法によるセラミックス粒子へのカーボンコーティングの研究も行っています。カーボンコーティングによって粒子の導電性の向上などが期待されます。マイクロ波加熱法の選択加熱効果を利用して粒子のみを加熱することで、粒子の表面で反応が行われ、カーボンコーティングすることができます。
今後はマイクロ波加熱法を応用して、リチウムイオン二次電池の正極材料であるLiFePO4のカーボンコーティングなどを行い試料の伝導性を向上させることで電池特性の向上を目指していく予定です。